動的分子化学研究室Chemistry of Dynamic Molecules Laboratory

研究概要

 分子は、ナノサイズの組織として集合したとき、ひとつひとつでは持ち得ない機能を示すことがあります。 お互いの相互作用が多様な有機分子やナノ粒子などでは、柔軟で可逆的な動き(ダイナミズム)を与えることができ、 動的な機能を生むことが期待できます。

 本研究室では、ナノ粒子、分子集合体、高分子、 分子シャトル、イオン液体などの組織化や複合材料の動的挙動について研究を行っています。 こうした挙動の電気・光・熱的制御を実現するため、様々な分析手法を用いて解析を行っています。

指導教員の研究概要

相樂教授の研究
電極界面での電位による可逆で制御されたダイナミックな動きを手なずける研究を重点的に進めています。 動的挙動を分光電気化学的に追跡するテクニックともに、世界をリードする立場にあります。 「動的組織体の界面電気化学」の新領域を開拓し、 「界面電位制御によるナノダイナミズムの学理確立」を企図します。 例えば、電気化学的に変色を伴って急速収縮させる高分子ハイドロゲルの創製、水中電極上に載せた油滴の電位変化による低電圧動的精密制御に取り組み、分子ロボット開発の基礎技術を目指しています。
村上教授の研究
環状分子にダンベル型分子が機械的にはまり込んだロタキサンという分子には、環状分子がダンベル型分子に沿って自由に回転・並進運動できるというユニークな特徴があります。 この特徴を超分子・高分子材料に組み込むことにより、材料が持つ従来の物性のさらなる向上や新しい機能の発現が期待できます。 また、企業と共同で温度によって粘着性がコントロールできる粘着剤の物性向上や新規開発も行っています。
田原助教の研究
酸化還元活性なイオン液体の合成と物性に関する研究を行っています。室温で液体の酸化還元活性なイオン性化合物の報告例がほとんどないため、物性は良くわかっていません。そのため、酸化還元活性イオン液体の創製に向けた分子設計から検討を進め、同時に電気化学物性に関する研究を、実験と理論の双方から考究しています。 また、金属ナノ構造の表面プラズモン共鳴やMie共鳴に関する実験的、理論的研究も他大学と共同して行っています。
Bun Chan助教の研究
京コンピュータを使用したナノカーボンの安定性の迅速な予測に関する共同研究で、現在の実験技術では得難いフラーレンの多数の安定性指針を計算しました。さらに、ビッグデータ分析を使用し、フラーレンの安定性のための数学的予測プロトコルを策定し、京コンピュータによる計算の100万倍以上を高速化しました。これらの研究は、求められる技術に即したナノカーボン材料の設計で、フラーレン安定性の迅速なスクリーニングを可能にします。

研究トピックス

現在の研究を中心にご紹介いたします。