50゜C, C6D6
M' = Ag: k1 = 13.8 x 10-5 s-1, k2 = 18.6 x 10-5 s-1
M' = Au: k1 = 1.26 x 10-5 s-1, k2 = 3.52 x 10-5 s-1
3-t-ブチルピラゾールを用いると,図に示すような2種の架橋異性体が得られた.置換基が逆方向を向いている異性体をHT体,同方向を向いている異性体をHH体と呼ぶ.この2種の異性体は溶液中で平衡状態にあり,M' = Ag, AuともHT体の方が多く存在する.M'(I)イオン (M' = Ag, Au) はPd(II)イオンに比べてより置換活性であるが,異性化反応には見かけ上Pd・・・Pd間を架橋している配位子のみが関与しているように見える.Pd2M'2錯体は低温でもfluxionalな挙動を示さないが,Pd2Au'2錯体に銀イオンを共存させると異性化反応が速くなることが観測された.
K. Umakoshi, T. Kojima, Y. Arikawa, M. Onishi, Chem. Eur. J., 2006, 12, 5094-5104