結晶物理学研究室

研究内容

透過型電子顕微鏡(TEM : Transmission Electron Microscope)による結晶構造解析手法の開発と応用
電子チャンネリング原子位置決定法 (ALCHEMI) を利用した三元以上の多成分系の原子配列を決定する研究を行っています。 ドーパントとしてMnを添加したβ-FeSi2は非常に高いP型の熱電特性を示します。β-FeSi2は下図のようにFeⅠサイト、FeⅡサイト、Siサイトからなります。この時Mnはどのサイトに占有しているのかをALCHEM法を用いて決定することができます。 ALCHEMI法を用いて下図のようにMnはFeⅠサイト、FeⅡサイトに分配されることが分かりました。

熱電エネルギー変換材料の開発
熱電エネルギー変換は、熱を電気に直接変換する技術です。このため、二酸化炭素など、変換時に発生する廃棄物が一切なく、環境にやさしいクリーンなエネルギー供給技術として注目されています。 エネルギー変換効率は無次元性能指数ZTの関数で、大きなZTをもつ熱電材料の開発が必要です。 無次元性能指数ZT = S 2 T /ρκ 大きなZTには、大きなゼーベック係数S、小さな電気抵抗率ρと小さな熱伝導度κを実現する必要が有ります。つまり金属、半導体、絶縁体の相矛盾する性質を同時に兼ね備えた物質の探究が不可欠となり、いろいろな工夫を凝らして材料開発が世界中で行われています

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走査透過型電子顕微鏡(STEM: Scanning Transmission Electron Microscope)による結晶構造解析手法の開発と応用
操作透過型電子顕微鏡は入射電子ビームを1原子以下の大きさに絞り、捜査しながら透過電子像、散乱電子線、特性X線を検出し、1Å以下の分解能で試料を観察することができる顕微鏡です。ミスフィット型層状酸化物Ca3-xSrxCo4O9のSr占有サイトの決定するために下図左のJEOL JEM-ARM200Fを用いて観察を行いました。 右図のCa-K線とSr-L線の最大強度位置が一致するので、Srは岩塩層のCaサイトに置換されていることが分かりました。

銅合金

銅合金は熱伝導性、耐食性、曲げ加工性に優れています。主にばね、電子部品、コネクタ材料として使用されています。携帯情報通信機器の小型化、高密度実装化に伴い性能の向上が求められています。 特にCu-Ti合金は高強度であり、加工性が優れています。しかし、Cu-Ti合金は一方で導電率が著しく低いという欠点を持っています。 そこで、我々はCu-Ti合金に元素を新たに添加することで強度、加工性を維持したまま、導電率の向上を狙って研究しています。

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鉄系導電性材料

鉄鋼材料は金属材料の中でも生産量が最も多く、安価で加工性が優れ、リサイクルしやすいといった特徴があります。鉄系の導電性材料を開発できれば、強度や経済性の観点からきわめて有用な材料となることが期待されます。 我々はFeの強度を維持したまま、導電性の高いCuを組み合わせることで、強度-導電性の双方の優れた材料を開発できると考えFe-Cu合金を研究しています。

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