セラミックスと生体分子の融合と新機能

セラミックスと生体分子という水と油のような物質群同士を結合してこれまでにない機能を持つ無機バイオ複合材料の創製を目指しています。これまで、生体分子の触媒活性をセラミックスの光物性や電気物性を利用して精密制御可能な融合物質や、セラミックス自体の化学組成を生体分子の活性中心と同様に設計することで、セラミックスでありながら生体分子と同様の機能を持つ材料を合成してきました

生体防御機能をもつセラミックス材料の開発

セラミックスの新しい機能性として、生体防御機能を示すセラミックス材料の設計と合成を行っています。セラミックスの電磁波吸収能、表面反応性などを利用して、生体損傷をもたらす外的要因から生体分子を保護する材料の創製と評価を行っています。また、コロナ禍に入り、あらゆる生活空間において抗菌性や耐ウィルス性が求められる中、薄片状セラミックスが抗菌表面を形成する材料として有望であることを見出し、抗菌コーティング用素材としてのセラミックス粒子の形状および組成設計と抗菌性評価を進めています。

上記の研究において、2次元材料である層状セラミックスを中心に機能化を行っています。とくに層状セラミックスを原子レベルまで極限に薄膜化した無機ナノシートは、通常のセラミックスと比べて極めて大きな表面積や、大きなセラミックにはない柔軟性を持ちます。一方、生体分子・有機分子・無機分子などの物質とあわせて多様な組成や物性を示す3次元構造体を形成できます。私たちはこのような「層状セラミックスの有効活用」および「セラミックスのバイオアプリケーション」の2つを念頭において研究活動を遂行しています。